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by bunntami

Book Review 「さぁ、手をつなごう」

d0053670_17584126.jpg『ぶらんこ乗り』 いしいしんじ著 理論社/新潮社  文庫/500円(税込)
“ぶらんこ“と“指で音を鳴らす“のが上手い弟。声が出せなくなってしまった弟。動物の声を聞くことの出来る弟。常に現実に打ちひしがれ、それでも、必至に手を繋ごうとしていた弟。お姉ちゃんや家族が大好きで、でも孤独で……いつしかいなくなってしまった弟。そんな彼の残していった日記を、姉が読む形でストーリーは進む。一見するとやさしい色に包まれた絵本のような風合い。しかし読むほどに、現実のエグさ・現実に起こりうる悲しみを内包した、寓話的な作品だということが分かる。 第3長編「麦ふみクーツェ」で第18回坪田譲治文学賞受賞の、また最近では、クラムボン原田郁子への詩の提供等多方面での活躍もめざましい、いしいしんじ 初の長篇小説は、こんな風に書くのが躊躇われるくらい、本当に多種の要素を 持った懐の深い作品だ-“天才”。凡人にはそうとしか言い表わせない壁が、 本当に悔しい。
text by Marbou
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by bunntami | 2005-06-24 16:41 | 創刊第2号/2005年6月発刊