文学をこよなく愛する人へ


by bunntami

Book Review 「あたしたちを忘れないで…」

d0053670_17511494.jpg『グランド・フィナーレ』  阿部 和重著 講談社 1,400円(税別)
人と人との隔たり。特に、大人と子供との間にある溝はいつの時代も、なかなか埋まらない。 所謂、ロリコンが原因で愛する妻子と職を失った主人公。地元に引きこもり、実家の文房具屋を手伝いながら、町を徘徊するだけの日々が続いていた。そんなある日、ひょんなことから子供クラブで催される芸能際の演劇監督を引き受けることになる。そこで主人公が見たものは、小さな別れに陶酔し、甘美な死を望む二人の美しい少女達であった。娘への病的な執着、そして児童性愛。「死んじゃう子だっているんだよ」何かを予感した呪いのような言葉が、今現実のものとして主人公の前に提示される。取り返しのつかない時間を刹那主義的に生きる子供たち。それに群がる大人達は、その時間の深刻さを認識していない。現在に蔓延る児童性愛という問題を、鋭敏な文章で綴った問題作。第132回芥川龍之介賞受賞作品。
text by 宮崎
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by bunntami | 2005-06-24 16:40 | 創刊第2号/2005年6月発刊